土井先生のお言葉
覚えてないけどはじめてリードを咥えてファゴットに息を吹き込んだ瞬間が僕にもあったはずで、音楽で食っていくなんて大それたことを夢見るようになったのはそれよりずっとずっとあとのこと。
指使いをどんどん覚えて出せる音が増えていくのがたのしくて、みんなと目標を共有して音を重ねることがたのしくて、でも同じ人と同じ環境で演奏することには必ず終わりがくることも学びながら、そこに邪念は一切なく純粋な気持ちで楽器ケースを開けていたと思います。
対価としてお金をいただくようになってから、肩書きになるようなことを欲するべきだと自分に催眠をかけるような毎日を過ごしていました。今思えば…
そうでもしないと自分の音に誰も耳を傾けてはくれない、お客様が時間とお金をかけてご来場してくださるはずがないと言い聞かせていました。
でも先生のお言葉を目にしたとき、なんかスッと胸の奥に落ちてきて
自分の中のことなのに誤解して邪なことだと決めつけていた自分の中の欲?は情熱と呼んでいいものなんだなって
先人のようになりたい、見たことない景色が見てみたいと思うことはあこがれって名前があるんだなーって腑に落ちて
ほんとうに救われました。
運指表とにらめっこしながら1個ずつ出せる音を増やす喜びを全身で感じていたあの頃の気持ちのまま、ファゴット歴14年の27歳も1個ずつできることややりたいことを増やしていったってバチはあたんないよね
自粛生活の中、楽器と一緒に過ごす時間を改めて大切にしたいなと思っています。